コラム

ゲームでお金を学ぶ?過去最高売り上げの『あつ森』からみる未来の金融教育

ゲームでお金を学ぶ

コロナ禍で巣ごもり消費が増えてきている中、ニンテンドースイッチの『あつまれ どうぶつの森』(以降、あつ森)が怒涛の勢いで売上本数を伸ばしています。

任天堂の公式発表によると、たった6週間で1,341万本と史上最高ともいわれるほどです。

あつ森 1341万本
引用:ヤフーニュース

あつ森では自分だけの部屋や施設を作ったりして、島全体を自由にアレンジできるのが人気の理由です。
ただ、ゲームといえどお金のやりくりをする仕組みは存在しています。

ゲーム内で採った魚や果物などはほぼ全て売れる構造は、まさに現実世界そっくりです。
このように、実はあつ森はお金の使い方ついて学べるゲームといえます。

そこでこの記事では、任天堂の人気ゲームのあつ森にある金融の仕組みについて解説していきましょう。さらに、お金を学ぶことはそこまで難しくないこともお伝えしていきますので、ぜひ最後まで読んでください。

あつ森をきっかけに、お金について学ぶ習慣をつけられるようになりましょう。

Contents

大人気の『あつまれ!どうぶつの森』にある金融システム

どうぶつの森
引用:任天堂

あつ森のストーリーでは、島に第二の人生として移住した主人公がたぬきの「たぬきち」と呼ばれる人からお金を借りて小さいテントをもらうところから始まります。最初は住人も少なく、島には何もない状態からスタート。

テントは返済は簡単ですが、その後は家を建てたり、リフォームを繰り返すためにローン組んで、島にある掘り出し物や釣った魚でより多くのお金を返済する必要がでてきます。

これもどうぶつの森においてはお金を稼ぐ目的です。最終的にマイホームにかかる増築のローンは2,498,000ベルにまで到達します。

この金額までくると、なかなか返済が大変だと感じますよね。現実世界のお金に置き換えても同じでしょう。

このようにあつ森ではお金の簡単な仕組みを自然に体験でき

他にも、お金を預けたり引き出したりできる銀行にあたる『たぬきバンク』なども存在しています。
このように様々なお金に関わる基本があるうえに、まだまだ高度なものがあったりプレイヤーが上手く活用していたりするので少しずつ紹介していきます。

カブとカブ価

あつ森の世界には、『カブ』とその価格である『カブ価』というものが存在します。

これはまさに「株と株価のことでは?」と思った方も多いでしょう。まさにその通りです。

カブの価格は毎日変動しており、上がったり下がったりを繰り返しています。なので、カブ価が安い時に買い、高い時に売ることで利益として大量のベルを得て借金返済や物の購入に使えるのです。

価格が上下し、その差額分で儲けるあたりが現実世界の株価にそっくりです。あつ森をプレイしているだけで、自然に株の基礎的な仕組みが体験できるようになっています。

ゲームシステムを応用した『裁定取引』

カブとカブ価だけでも驚くほどリアルなのですが、高度なプレイヤーによってさらに進化を遂げます。

あつ森ではプレイヤー間の島を移動できる仕組みがあります。
それを利用して今のカブ価が高くなっているプレイヤーの島へ行って自分のカブを売却すれば、ノーリスクで大金を稼げるのです。わざわざ自分の島でのカブ価が上がるのを待つ必要がないので、非常に効率的です。

イメージしやすい事例でいうと、政府の対応が非常に遅かった新型コロナウイルスにでも説明しましたが、マスクやティッシュ不足の影響で、それらの価格が高騰した際に一部の人が転売していた件などもある意味同じようなやり方です。
カブ価が高騰していると分かっている友達の島で、自分の島のカブを販売して利益を出す点で似ています。

この手法は現実世界でいうと、完全に『裁定取引』という高度な取引になっています。裁定取引とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格の歪みを狙って利益を出そうとする取引です。

まさにカブという同一の価値を持つ商品の価値が一時的に他プレイヤーの島によって異なっていることを利用して利益を出しています。
このようにプレイヤーによってあつ森の金融システムは一段階進化したといえます。

プレイヤーの島が証券取引所化している

あつ森の金融システムの進化はまだ止まりません。

次に頭の良いプレイヤーは自分の島のカブ価が高くなった時に積極的に他プレイヤーを呼び入れ、カブを取引したら一定の手数料を取るようになりました。

つまり、自らの島を証券取引所化したわけです。こうすることでカブの有効期限を気にして自分の持ちカブを失うことがありませんし、自分のお金を使ってかぶを購入しなくても済みます。

他プレイヤーからしても、手数料より利益が多くなるため損はしません。

これは現実に存在する東京証券取引所と全く同じ機能です。
東京証券取引所では、主に現実の株の売買を成立させる重要な機関になります。その際に、わずかではありますが取引手数料のようなものを取っています。

自分の島で他の人にカブを取引をしてもらって手数料で利益を出すというのは、完全に同じです。
このように非常に高度な金融システムがあつ森というゲーム内で構築され、誰でも体験できるようになっています。

お金はゲームを通じて学べる!決して難しくない

ゲームで楽しく

みなさんの中には、『お金を学ぶ』と聞くとやや抵抗があったり専門用語ばかりで難しそうと思ったりする人も多いのではないでしょうか。しかし、あつ森が良い例で、今の時代ではお金の仕組みはゲームで楽しく簡単に学べす。

みなさんはお金に対して、どのようなイメージを持っていますか?
友達や家族とお金の話をするのは、少しストレスを感じるという人も多いのではないでしょうか。

それもそのはず。なぜなら日本人はお金=難しい、汚いという固定観念が残ってしまっているからです。それが日本の金融リテラシーが一向に向上しない原因の一つになっています。

未だにゲームは頭を悪くすると思い込んでいる人は大勢いるのが現状です。リサーチ会社のASMARQが全国の20~40代の既婚男女にアンケートした結果、全体の50.7%の人が『ゲームは子どもの発育・成長に悪影響がある』と回答しています。

ゲーム 悪影響
引用:ASMARQ

しかし、実際はゲームから学べることは非常に多いです。
これからはゲームはお遊びという考えは完全に改め、学びになるゲームは積極的に取り入れていくべきでしょう。

ゲームでお金に触れる機会があるアメリカ

アメリカ

あつ森では、物を売買したり、作ったりするという現実世界と似た仕組みがあることが分かりました。実は、すでにそれに近い内容のゲームがアメリカで一般的に遊ばれているのを知っていますか?
その代表例が人生ゲームです。

人生ゲームとは、ルーレットの出た目でステージのマスを進んでいき、その過程で就職や結婚、資産の購入をしたりして、最終的に多くの資産を気づいていれば勝ちというゲームです。
この人生ゲームを通して、労働以外からの収入や負債の本質、税金についてなど広くお金について学べます。

あつ森よりは大人な内容に見えるかもしれませんが、実際にプレイしてみると子どもも一緒に楽しめるようなゲームなのは皆さんもご存知なはず。

他にも、似たような内容のモノポリーと呼ばれるボードゲームがアメリカでは多くの人に遊ばれています。

アメリカが今や世界第一の経済大国である理由には、お金の基礎を学べる人生ゲームやモノポリーのようなゲームが根付いていたからということも考えられるのではないでしょうか。

実際、日本でも人生ゲームが流行ったように、お金のような一見センシティブなテーマでもゲームを通して学べるはずです。
いきなり日本全体とはいかなくても、この記事を読んでくれている人はぜひゲームを通じてお金について学んでみてはいかかでしょうか。

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