2020年はコロナの年といわれそうです。中国がロックダウンを行ったのは1月23日。比較的早い時期から感染が発見された日本ですが、その後の政府の対応は決して早いといえるものではありません。そこで今回はコロナにおける政府の対応を海外の動向も踏まえ、何が問題かについて解説していきます。
Contents
新型コロナウイルスに対しての政府の主な対応
まずは、日本国と日本政府が行った対応を振り返ってみます。こうしてみるとそれなりに対応をしていることがわかります。
1月16日:国内で初の新型コロナウイルス感染が確認
1月29日:中国・武漢からのチャーター機で帰国(計5回)
2月1日:新型コロナウイルスが「指定感染症」として認定
2月13日:日本政府が新型コロナウイルス対策第1弾を決定
2月25日:政府が新型コロナウイルス感染症対策を発表
2月29日:「世界経済の動向を注視しながら、そのインパクトに見合う経済財政政策」を行うと発表
3月10日:緊急対策第2弾として、財政措置4,308億円、金融支援1.6兆円を決定
このように3月の時点でかなりの支援が決定されることとなりましたが、依然として進んでいないことが分かります。これは他の国と比べてみると一目瞭然です。
未だに届かない10万円の給付金
政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急対策として、全国民を対象として「特定定額給付金」として一律10万円を支給することが4月30日に決定されました。緊急対策のはずなのに未だに支給されていない市町村多く、不満が溜まっているようです。
当初はオンラインで給付ができるはずでしたが、自治体側が混乱。郵送だけの市町村もでることとなりました。6月に入っても支給されていない人も多く不満がたまっているようです。僕の周りでは6月に入ってやっと申請用紙が届いたと言う方もいらっしゃいます。
一方、迅速な対応としてあげられるのがアメリカです。アメリカは決定されてから2週間で振り込みが始まるなど手続きにおいては非常に迅速だといっていいでしょう。
確定申告制度が確立されているアメリカ
日本の税制度は未だに源泉徴収制度です。企業が社員の納税業務を肩代わりし税務署に納めています。税務署側も一定額以上の所得がある源泉徴収票しか受け取っていないために、個人ごとの納税額や口座情報を把握していないとされています。そのために、一度住民票ベースで個人の情報を照らし合わせる必要があるため支給が遅れているのではと考えられます。
一方、個人で納税業務を行う確定申告が確立されているアメリカの場合、給付金の支給額が各家庭の構成や年収などで変わる仕組みですが税務署側がしてくれるので何も手続きをしなくても勝手に計算をして、勝手に振り込んでくれるというわけです。
源泉徴収制度が未だに根強く残っている国の代表格が実は日本なのです。会社員の人は納税業務を個人で行っていませんので、未だに人任せの体質があると言わざるを得ないでしょう。それは結果的に、自分がどれだけ納税しているのかを実感しづらくさせています。
雇用者対策がしっかりとされているドイツ
同じように休業を決めた際、従業員の手当てを補助するために作られた助成金でも海外の対応が早いところがあります。4月に開始された雇用調整助成金ですが、4月中に日本で支給が決定されたのはたった3件。
一方、ドイツの場合は3月末の時点で47万社の申請が受理されたと言います。ここでも大きな差が開いているわけですが、理由の一つとして欧州は労使関係の助成金の対応に慣れていることがあげられます。
企業側も役所も対応に慣れており、オンラインですぐに完結する仕組みが整備されているといえそうです。常に労使関係に注視してきた欧州だからこそだともいえるかもしれません。
条件が厳しすぎる学生給付金の予算は7億円でカナダの1/1000
5月19日に始まった学生給付金ですが、条件の面で給付してもらえないと非難の声があがっています。申請から1週間程度で支給されているようですが、受け取れた人はそう多くないようです。
それというのも予算が圧倒的に少なすぎるという背景があるのではないでしょうか。今回の学生給付金に対する日本政府の予算は7億円です。
一方カナダは月10万円の学生給付金を5〜8月の4ヶ月に渡って支給すると発表しました。これは金額にすると6,900億円です。日本の1/3の人口であるカナダはそれだけの金額を拠出したということは、日本政府でももう少し捻出できたのではないかと思うのは私だけでしょうか。予算の配分に違和感がある部分が多々みられます。
マスクの予算は466億
その一つが「アベノマスク」と呼ばれた、政府からマスクの一律支給です。背景として、マスクが高く入手がしづらい時に「一定のマスクが入手できそうだから配ってしまえ」ということになったそうですが、その予算は466億。
そして緊急事態宣言中に配布されたのはごくわずかな地域のみ。未だに配布されていない家庭も多いといいます。本来の目的も果たせていませんし、466億もかけてなぜ配布したのか?マスク配布の影に利権も絡んでいるとされていて不透明なやりとりだったとも言われています。国民からこの様に思われても仕方ないのではないでしょうか。
私たちは収めた税金がどの様につかわれていくのかもしっかりと確認する良い機会かもしれません。
もっと不可解な「GOTOキャンペーン」
学生給付金の予算よりも圧倒的に多いのがGOTOキャンペーンです。国内旅行を対象にして、宿泊や日帰り旅行商品の割引、土産物、飲食店施設、アクティビティ、交通機関などに使える地域の共通クーポンを発行して観光地全体の消費を促すことが狙いとされています。予算は1兆7000億円ともいわれ、2016年熊本地震の際に実施された「九州ふっこう割」や2018年の北海道胆振東部地震の「北海道ふっこう割」がそれぞれ180億円、81億円から考えると、日本全国とは言え1兆7,000億円となると規模が全く違います。
もちろん、消費が落ちた観光地や飲食店への対応という意味では素晴らしいのかもしれませんが、問題なのはタイミングと構造です。まず、コロナがまだ収束していないこの時期に「わざわざ取り上げる内容なのか」ということがあります。考え方の一つとしてまずは国民に対して「新型コロナ対策」を真摯に向き合うという姿勢を見せることの方が重要ではないでしょうか。
次に構造です。今回のGOTOキャンペーンに関しては事務局の委託費が全体の2割ほどである3,000億円と言われており、この金額が妥当なのかということが議論になっていました。結局、野党の批判を受けて金額を下げて公募先を選定するようですが、このあたりも利権なのではないかと騒がれています。
緊急経済対策案の1つとして出されたこの「GOTOキャンペーン」は、特別給付金や学生給付金、医療装備などの対策よりも早く具体的に考案され、「一刻も早い再起動」「一気に進める」「守りきり、危機をしのぎ切る」といった安倍総理の言葉とは裏腹に今必要な政策よりも収束後の政策の方が具体的に書かれていたといいます。
支援や補助金の充実よりも政治家の利権が優先されているように感じる人が多いのもある意味当たり前でしょう。
今必要な現場の援策から大きく離れており、「緊急」にも関わらず中小や自営業者の支援は曖昧、マスクや特別給付金は「いつ配られるんだ」と国民が求めているものを蔑ろにして経済立て直しの対策ばかりに目を向けられては、コロナ収束後に生活が苦しくなる人たちにとって「GOTO」といえない生活になる可能性が高いはずです。
コロナ対策で国の未来が見える
今回は日本の新型コロナウイルスに関しての対策をまとめてみました。新型コロナウイルスは現在進行形で起きていて、国によって対策が進んでいる箇所と進んでいない箇所があるため、どの国が一番優れているとは言い切れないのが現状です。
ですが、日本において安倍政権が国民の方を向いているのか向いていないのかということは分かるのではないでしょうか。これは政府の体質と言って良いものだと思います。ぜひ、今後の経過も含めて政府の対応を注視し、将来この国を当てにして良いものなのか考えてみるのもいいかもしれません。
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