アンティークコインは実物資産の中でも、紀元前にさかのぼるほど長い歴史があります。
その中でも価値を失わずに今も取引され続けているのには、当然相応の魅力があるからです。
アンティークコインという資産に興味を持ち始めるためには、まずその歴史を知ることも良いきっかけになるはずです。
そこで今回はアンティークコインに関する重要な歴史の転換点を述べていきます。
みなさんも聞いたことがあるような歴史上の出来事や国が出てくるので、興味深く感じる人も多いはずです。
アンティークコインの歴史を知って、今もなおその価値が認められている理由を少しでも分かるようになりましょう。
Contents
コインの起源は紀元前にまでさかのぼる
アンティークコインと呼ぶからには、単純に考えると昔のコインという意味です。
とはいえ一体、どのくらい昔にアンティークコインはできたのでしょうか。
今のところ発見されている世界最古のコインは、紀元前7世紀頃にリディアで作られていたエレクトラム貨です。
当時のコインは重量は一定の法則を保っていたものの、自然合金で作られていて査定の方法もなかったため金の含有量がそれぞれで異なっていました。
このようにアンティークコインの歴史はキリストが生まれる遥か前から始まっています。
つまり約2670年もの月日を経て、現在も取引されていると考えると興味深いですよね。
大量のコインを作るアレクサンドロス大王
そしてアンティークコインの歴史を語る上で非常に重要なのが、アレクサンドロス大王です。
彼は紀元前4世紀ごろに活躍し、領地をマケドニアからインドやヨーロッパにまで渡る大帝国を作った人物になります。
そんなアレクサンドロス大王は、当時に見つけた鉱山から見つけられた大量の金銀を使って、重さと大きさを統一したコインを大量に発行しました。
同時に造幣局が25ヶ所以上も作られたことで、コインがたくさんの人の間で流通し始めたのです。
以下のコインは、表にヘラクレス神と裏に全能の神ゼウスが描かれており、そして自らをギリシアの英雄神ヘラクレスの横顔に重ねることで世界のリーダーであることを示しています。
アレクサンドロス大王はこうして貨幣経済の基礎を作ったとともに、アンティークコインを自身のプロパガンダにも使うなど有効活用したことで知られています。
ルネッサンスをきっかけにヨーロッパ各地へ広がる
そして時は進み、ローマ帝国という国家が地中海世界を治めるほど大きな帝国を築きあげ、395年に東ローマ帝国・西ローマ帝国に分かれていきます。
しかし、ゲルマン人の進行によって西ローマ帝国は衰えて次第に滅亡していき、一方の東ローマ帝国はビザンツ帝国と呼ばれて長く存続しました。
そんなビザンツ帝国も1453年に滅んでしまいます。当時もローマ帝国によって様々なアンティークコインが作られていたのですが、この出来事によって文化の多様性が失われ、暗黒時代が始まりました。
そんな中次にアンティークコインの歴史に大きな変革をもたらしたのは14世紀のイタリアから始まったルネッサンス(文明復興)です。
ルネッサンスとは、ギリシアやローマを理想として復興させつつ思想や文学、美術などの文化を生み出そうとする運動のことを指します。
その影響はアンティークコインにも及びました。
ルネッサンスに感化された彫刻家たちは次第に優れた様々なコインを作りだしていったのです。
例えば、イタリアでは為政者たちが描かれているコインが流通していました。
このルネッサンスをきっかけに、ヨーロッパ各地で独自のコインが作られていき、同時にアンティークコインの種類が一気に増えたのです。
大航海時代、アメリカ大陸から大量の金が取れる
そして15~16世紀になると、大航海時代が始まってポルトガルとスペインがアメリカ大陸を発見します。
アメリカ大陸には金銀などの豊富な資源がありました。
例えば、16世紀から17世紀にかけてペルーのポトシ銀山などから持ち込まれた銀は全ヨーロッパが当時に持っていた銀の3倍の160万トンに相当したといわれています。
また、金も全ヨーロッパの供給量の5分の1に達する18万トンが流入しました。
それらを自国へ持って帰ったポルトガルとスペインはまた新たなコインを豊富に作り始めたのです。
イギリスで世界初の金本位制
19世紀になると、ジョージ3世によってイギリスで初めての金本位制がしかれたこともアンティークコインの歴史において大切です。
金本位制とは、金を通貨価値の基準として、代わりに自国の通貨を発行する制度のことを指します。
これによって金そのものでできていたコインではなく、それと同等の価値が保証されている通貨ができて他国との取引が非常にスムーズになりました。
金本位制が実施できるようになったのも、アメリカ大陸から大量の金が採掘できたことが要因なので、大航海時代がいかに世界を変えたか分かります。
また、コインではなくそれぞれの通貨が使われるようになっていた時代でもアンティークコインは価値を認められ続けて、当時もコレクションしている人は多くいました。
独自の歴史を持つ中国と日本
ここまでは主に東アジアから欧米にかけての歴史をピックアップしてきました。
しかし、実は日本と中国はアンティークコインに関して独自の歴史を持っているのです。
ここからは一風変わった日本と中国の歴史について紹介していきましょう。
元々は銅が流通していた中国
中国は広大な領土があったものの金はほとんど取れなかったため、銅が主に貨幣として流通していました。
また、当時から世界で最も人口が多かったこともたくさん産出できた銅が流通していたことに関係しています。
そんな中、数少ない金で作られたコインはたったの20枚のみで、通貨としてではなく記念品として使われていたようです。
次のコインがその一つで非常に貴重なものになっています。
しかし、17世紀以降になると、中国の清朝は絹や茶などをヨーロッパに輸出することで大量の銀を得ていました。
その影響で銀貨には様々な種類が存在しています。
例えば、以下のコインは1911年に清朝の宣統帝が発行した大型銀貨です。
18世紀後半以降は、アヘン戦争やアロー戦争の戦費や賠償金のために銀が大量に国外へ流出したため、銀の価値が高騰していきました。
資源が豊富だった日本
実は日本は金や銀、銅などの資源にとても恵まれていました。
それゆえに戦国時代には多くの大名は大判・小判のような金貨や銀貨を作っています。
あの豊臣秀吉も天下統一後に各種の金・銀貨を作ったそうです。
その後、明治時代に入ると、金貨を本位貨幣として「円」という単位が使われ始めました。
銀貨と銅貨は補助貨幣となります。
また、日本では日清戦争後に得た大量の金でようやく金本位制になったため、貨幣制度は他国よりも遅れていたといえます。
コインの歴史は長く、それゆえに魅力的である
アンティークコインには長い歴史があるがゆえに、興味深くて今もなお多くの人が求める理由にもなっています。
当時の人々の価値観や文化などが入り混じり、時を越えて今の私たちが見れていると思うと少しワクワクしてきませんか?
この記事をきっかけにアンティークコインの面白さを感じてくれると幸いです。
全てのアンティークコインは次の画像のようなカタログに相場や詳細が載っています。
アンティークコインは紀元前からその貴重性や魅力から大昔から多くの人を魅了してきたものです。
それは過去形にとどまらず、今も多くの資産家に愛され続けています。
【資産の保全先としての『アンティークコイン』その圧倒的な優位性に迫る】の記事では、本格的に資産保全としてのアンティークコインの魅力を見ていきます。
背景にある長い歴史だけではない、富裕層がアンティークコインを買う決定的な理由をお伝えしていきましょう。
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