2016年に厚生労働省が発表した「国民生活基礎調査」によると、貯蓄なしの世帯が14.9%もいるそうです。保険料や消費税が上げられていく中、貯蓄していくことはかなり難しいことになっていくでしょう。2019年現在、コンビニなどでも多くの高齢者が働いています。それはけっして他人事の話ではありません。今回は老後資金が貯められなかったときに、どれくらい働かないといけないのか試算してみます。
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貯蓄ナシで老後に働いてもそれほど稼げないのが現実
そもそもなのですが、私たちの老後に年金が支給されるかどうかということの前提を確認したいと思います。政府は「年金は支給する。そのため、4~5万円前後の赤字がでるので補填して」というメッセージ、いわゆる「年金2000万円問題」をとりあげていますが、将来に現在想定された金額が支給されるとは限りません。
そこで今回は、年金は支払われない前提で進めていきます。そのうえ、以前取り上げたように月の生活費が最低22万円かかるとします。その条件で高齢になった場合、どれぐらいの時間を働く必要があるのか計算してみることにしました。
現在の労働者はどれぐらいの時間を働いているのかをまとめてみました。
20代:8時間17分(25〜29歳 361 万円)
30代:9時間30分(35〜39歳 442 万円)
40代:9時間22分(45〜49歳 496 万円)
50代:9時間4分(55〜59歳 516 万円)
60代:7時間7分(60〜64歳 396 万円)
60代でも給与が比較的高くなっているのは、男性で定年前の社員が金額を押し上げているからです。冷静に考えて、今後の60代は今よりも給与が低くなることが想定されます。なぜなら今以上にITなどが進歩すれば「つかえない」高齢者に払う給与を下げたいと思うのが経営者だからです。また70代の労働時間はかなり減ってきているのが分かります。それは非正規雇用者の割合が伸び始めてくる年齢だからです。
70代以上の長時間労働は無理に近い
70代以降のデータはありませんでしたが、1日の労働時間はがんばっても6~8時間になると思われます。社員になるのはかなり難しく、非正規のアルバイト雇用が多数を占めるはずです。時給は将来はインフレが起きるかもしれませんが、その時は物価も上昇するはずなのでそこは考慮せずに現在の金額で計算すると900~950円/時間あたりです。そうなると一日働いて5400円~7600円にしかなりません。月20日働いたとしても108,000円〜152,000円(年収120〜180万前後)であり、月22万円を稼ぐことはかなり至難なことだということが分かると思います、
仮に月22万円以上働こうと思ったらダブルワークをする必要があります。しかし、高齢になってからそんなに長時間働けるでしょうか?どう考えても難しそうです。
老後に働き続けることのリスクはたくさんある
65歳以降になって働く場所が見つかり、年金が雀の涙ほどの金額が支給され、なんとか生活ができたと安心することがあるかもしれません。しかし、働き続けられるかどうかは分からないのです。なぜなら自分だけでなく周りも含めて、さまざまなリスクがあるからです。
・あなたの親や兄弟姉妹、配偶者が介護の必要性があった場合
・ケガや病気で働けなくなる可能性
・自然災害などで働けなくなる可能性
・消費税増税と年金受給額減少などの制度改正リスク
・老後にずっと働き続ける場所があるか
このようなリスクが考えられますが詳しく説明していきます。
・あなたの親や兄弟姉妹、配偶者が介護の必要性があった場合
親の介護が必要な場合は、夫婦であればどちらか1人が働きつつ介護をする体制ができれば、老後の資金を作りながら生活はできるでしょう。ただし単身者や夫婦でもどちらかが介護の必要になったら、働くことは無理になりますので、老後破産を覚悟する必要がでてくるかもしれません。
・ケガや病気で働けなくなる可能性
体力が減っていく中で働いているときだけでなく、生活をしているときにもケガのリスクは増えていきます。また病気になった場合、長期入院をしたら働くことは無理ですので、単身者は特に注意が必要です。
・自然災害などで働けなくなる可能性
地震や台風などの自然災害があると、自宅だけに限らず勤め先や取引相手も被災してしまう場合があり、数か月間働けなくなったり会社自体がなくなってしまったりすることで、職場探しから始めないといけなくなることも出てくるでしょう。特に東海・南海トラフ地震が起こる可能性は高いとされているので、注意をしておいた方がいいでしょう。
・消費税増税と年金受給額減少などの制度改正リスク
2019年10月に消費税が10%になりました。また2040年に向けて年金受給者はどんどん増えていきますので、年金や介護の制度改正が行われるかもしれません。今より条件が良くなるというのは考えづらく、改正するたびに劣悪になると考えられます。
・老後にずっと働き続ける場所があるか
あなたが雇用主だった場合、70歳を過ぎても雇いたいと思われるようなスキルがあるか、ない場合にはどのようにスキルアップをしていくのかを早いうちに考えておく必要があるでしょう。そうしないと、「長く働ける場所を確保できない」ということも十分考えられます。
今から準備をするしか方法はない
20代や30代でできていたことでも、60代や70代になって同じようなことをやることは不可能です。老いには逆らえませんし、周りの流れについていけなくなります。何もしなければ惨めな老後を迎える可能性は高いのです。
惨めな老後を避けるためには、以下のことを意識しておくといいでしょう。
・定年退職前までに老後資金を貯めておく
・年金受給がはじまった後も対応できるようにしっかりとしたスキルを身に着けておく
・常に情報に敏感になり、知識を増やすことを厭わない
・健康で居続けられるように、体調をしっかりと管理する
健康であれば、年金生活を始めた後でも働き続けることもできますし、病院へ行く必要がなければ医療費の節約ができます。しかし、なんといっても若いうちから知識やスキルを身に付けておき準備しておくことが一番です。老後になんとかしようと思ってもほとんど無理です。少しでも早いうちから、さまざまな金融リテラシーを含む知識と行動に移せるスキルをなんとしてでも習得することが必然ともいえます。
今頑張るのか、それとも老後に苦しむのか。その判断をしなければいけない時期にきているのです。
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