政府が推している資産運用の制度として、NISAとつみたてNISA、iDeCoの3つがあります。
超低金利時代の中で預金ではお金がなかなか増えない状況にあり、将来の教育資金や老後資金の準備をするためにこれらの制度が作られました。
NISAは2014年1月から始まった投資優遇制度です。イギリスのISAという制度を元に作られており、細かな差はあれど根本的には似たものになります。
投資可能金額や期間に限度があるものの、日本在住で20歳以上であれば誰でも始められることで人気が出ています。
また、つみたてNISAは2018年1月からスタートした投資優遇制度になります。こちらは少額積立投資に特化した制度になっており、投資資金があまりない人たちでも使いやすいものです。
iDeCoは日本語で個人型確定拠出年金ともいい、個人が自分自身の年金をお得に作れる制度になります。
かつてのiDeCoは自営業者や企業年金のない会社員のための制度でした。
しかし、2017年1月から加入対象が企業年金のある会社員や専業主婦といった層にまで広がり、多くの人に認知され始めています。
近年になってこういった投資優遇制度が作られたのには、今後私たちが老後資金や教育資金などを準備するために必要だと政府が考えているからだと推測できます。
つまり、そのくらい国民にとって重要なものとして扱われている制度たちです。
みなさんもこの3つの制度のどれかでも聞いたことがあるのではないでしょうか。
ただ、それぞれ細かくどのように違うのか分からない人も多いと思います。
なので今回は3つの制度を5つの観点から比べつつ解説していきます。
比較結果を参考にして、ぜひ自分に合ったものを選べるようになってください。
Contents
NISAとつみたてNISAとiDeCoってそもそもどんなもの?
そもそもNISAとつみたてNISA、iDeCoはどういった違いがあるのでしょうか。
簡単に概要を説明すると次の通りです。
- NISA:投資の利益にかかる20.315%の税金が非課税になる
- つみたてNISA:つみたて投資に特化しつつ、投資利益にかかる20.315%の税金が非課税になる
- iDeCo:老後資金作りに特化しつつ、拠出時・運用時・受け取り時の全てに税制優遇がある
どれも制度の目的があるので、テキトーに選ぶのは良くありません。
ここから5つの観点で3つの制度を比較していくので、それを参考に制度を使うべきかどうかを考えてみてください。
投資信託協会が出している『2019年 投資信託に関するアンケート調査(NISA,iDeCo等制度に関する調査)』によると、NISAは20.8%、つみたてNISAは7.6%、iDeCoは11.9%の人が利用していることが分かります。
一見、少ないように見えますが、年々それぞれの制度を使っている人数は増えている傾向です。
始める人は増えているものの、この3つの制度はそれぞれ特徴を詳しく知らない人も多いはずです。
結果的に、何も使っていない人もいると思います。
比較軸①最小投資金額
まず3つの制度の最小投資額は以下のようになります。
NISA |
つみたてNISA |
iDeCo |
1株~ |
100円~ |
5,000円 |
表の通り、つみたてNISAがなんと100円からできるので最も便利です。100円であれば、大学生からでも始められます。
一方、iDeCoが5,000円からと最も高い結果です。とはいえ5,000円もそこまで大きな金額ではありません。
とにかく少額から投資をしたい人はつみたてNISAが向いています。
比較軸②年間の投資可能金額
3つの制度の年間の投資可能金額は以下のようになります。
NISA |
つみたてNISA |
iDeCo |
|
金額 (1年間の当たりの最大金額) |
120万円 |
40万円 |
14万4000円~81万6000円※職業などにより異なる |
非課税期間 |
最大5年間 |
最大20年間 |
運用期間中 |
投資可能金額はNISAが最も高く、場合によってはiDeCoが最も低い結果です。
また、つみたてNISAは買いたい時に随時買う『スポット取引』はできないので注意してください。
投資できるお金が余っているならNISA、少なければiDeCoもしくはつみたてNISAなら制度を最大限活用できます。
比較軸③投資できる商品
3つの制度の投資できる商品は以下のようになります。
NISA |
つみたてNISA |
iDeCo |
株、投資信託、ETF、REITなど |
金融庁から認可された投資信託、ETF |
定期預金、投資信託、保険 |
NISAであれば基本的な商品は取引でき、対象の株式の種類は3,500、投資信託の種類は5,000を超えるため投資できる商品数は非常に豊富です。
一方、つみたてNISAは投資信託とETFに限っている分、金融庁からの認可があるという信頼性があります。
ただ、日本の投資信託は海外と比べても非常にパフォーマンスが悪いことから、そもそも選べる商品自体の質が悪いのが実情です。
短期目線でも自由に売買して利益を出したいならNISA、長期目線ならつみたてNISAとiDeCoがおすすめです。
長期目線が老後資金の確保であれば、強制的な貯蓄機能があるiDeCoがいいと言えます。
比較軸④資金引き出しの自由度
次に資金引き出しの自由度を比較すると、以下のようになります。
NISA |
つみたてNISA |
iDeCo |
いつでもOK |
いつでもOK |
原則60歳から |
NISAとつみたてNISAはいつでも資金の引き出しができるので、トラブルがあった時でも対処しやすいです。
しかし、iDeCoは原則60歳になるまで資金を引き出せません。貯蓄の強制力という面では優れていますが、突然のトラブルには対応できないというデメリットがあります。
やはり生きていれば事故や病気など突発的にお金が必要になるケースもあるので、いつでも引き出しできるのが魅力です。
比較軸⑤年間の節税額で比較
以下では全ての制度をできる限り活用した時で比較をしています。
条件は次の通りです。
- 30歳で現役サラリーマン
- 利回り3%で運用
- 運用期間はNISAが5年間、つみたてNISAが20年間、iDeCoが30年間
- 税率は15%(所得税5%+住民税10%)として計算。
- iDeCoは60歳時点で一時金受取
NISA |
つみたてNISA |
iDeCo |
|
月の掛け金 |
10万円 |
33,333円 |
2.3万円 |
拠出合計額 |
6,000,000円 (120万×5年) |
8,000,000円 (40万×20年) |
8,280,000円 (27.6万×30年) |
拠出による節税効果 |
0円 |
0円 |
1,242,000円 |
資産額 (拠出額 + 運用益) |
6,464,671円 |
10,943,291円 |
13,310,399円 |
受け取り時の控除額 |
0円 |
0円 |
15,000,000円 |
受け取り時の支払税額 |
0円 |
0円 |
0円 |
節税額 |
0円 |
0円 |
1,242,000円 |
運用に対する非課税額 |
94,398円 |
597,946円 |
0円 |
節税額合計 |
4,720円 |
29,897円 |
1,242,000円 |
1年間あたりの節税効果 |
944円 |
1,494円 |
41,400円 |
※ご注意
これらのシュミレーション は一定の条件下での試算結果です。試算と実際の数値は異なる場合がありますので正確な数値を算出されたい方は公的期間へお問い合わせいただきますようにお願いいたします。
NISAとつみたてNISAはどちらも運用益に対してかかる20.315%の税金がかからないので、総投資額の多いつみたてNISAの方が節税効果は大きいです。
iDeCoは引き出しが60歳以降というデメリットがある反面、拠出時と受け取り時にも税制優遇がある点と運用期間が長い点から節税効果が圧倒的に高いことが分かりました。
NISA・つみたてNISA・iDeCoの違いまとめ!自分に合ったものを選ぼう
NISAとつみたてNISA、iDeCoについて詳しく比較してきました。
制度の内容をまとめると、次のようになります。
(制度内容)
NISA |
つみたてNISA |
iDeCo |
|
最小投資額 |
1株~ |
100円~ |
5,000円 |
年間の投資可能額 |
120万円 |
40万円 |
14万4000円~81万6000円※職業などにより異なる |
非課税期間 |
最大5年間 |
最大20年間 |
運用期間中 |
投資できる商品 |
株、投資信託、ETF、REITなど |
金融庁から認可された投資信託、ETF |
定期預金、投資信託、保険 |
資金引き出しの自由度 |
いつでもOK |
いつでもOK |
原則60歳から |
また、『比較軸⑤年間の節税額』の表から、iDeCoが最も節税効果が高いと分かりました。
まとめると、
- NISA:税制優遇を受けつつ、自分で自由に投資をしたい人向け
- つみたてNISA:税制優遇を受けながら、定期的な積立投資で臨機応変に使いたい人向け
- iDeCo:税制優遇を受けつつ、老後資金を着実に貯めたい人向け
というように制度を分類できます。
投資信託協会が出している『2019年 投資信託に関するアンケート調査(NISA,iDeCo等制度に関する調査)』によると、NISAを利用したいと回答した人が23.2%、iDeCoを利用したいと回答した人は17.7%でした。
この数値は前回よりも増加しているため、今回紹介した制度を使いたい人が少しずつ増えているようです。
これらは確かに税制優遇があるメリットは大きいですが、根底にある目的は運用によってお金を増やすことであるのを忘れないでください。
しかし、その観点からすると日本の投資信託は半数の運用資産が半減してしまったり、海外よりも手数料が高くて、質が良いとはいえません。
よって、パフォーマンスの良くない日本の商品を使って運用せざるを得ない今回の3つの制度は、あまり大きな運用益は見込めないといえます。
あくまで税制優遇が受けられてラッキー程度に考え、本格的に将来に向けてお金を増やしたいのであれば別の方法を考えるべきです。
とはいえ、別の方法を考えるのは面倒に感じる人も多いと思います。もし老後資金の貯め方に迷っているなら、オフショア投資がおすすめです。
オフショア投資なら、一般的なサラリーマンでも始めやすい投資額から始められ、かつ老後2,000万円問題もしっかりと解決できるようなポテンシャルを秘めています。
オフショア投資も選択肢の一つに入れつつ、お金に困らない将来を手に入れてください。
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