2019年6月に金融審議会市場ワーキング・グループの発表で表面化した「老後2000万円問題」。いわゆる「老後には年金だけでは足りず2000万円必要です」というメッセージが波紋を呼びました。しかし、ここでモデルケースになっているのは「夫65歳以上、妻60歳以上の無職の夫婦の世帯」です。住宅ローンが残っている場合や、単身で生活していく場合など、条件によって必要な老後資金が変わってくるのは当然のことです。
今回は人生100歳時代を迎えるにあたって、老後破産をしないために必要な費用に関して特に押さえておきたいポイントを説明していきます。
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老後になっても退職前の生活を続けることで貧困になってしまう
定年退職後、通常であれば年金を受け取って生活をしていくことになりますが、生活費が足りない場合にはパートなどへ働きに行きながら生活費を賄うことになります。
その時に、年金とパート収入を合計した総収入が退職前の給料と同じ程度であれば、生活に困ることは少ないかもしれません。ですが、退職前から給料でも足りずにボーナスを生活費に充てていたような場合には、年金生活を始めた時点でお金の工面が大変になることが考えられます。
なぜなら、今までの習慣になっている支出を減らすようなことは難しいからです。退職前の給料が30万円だとすると、その時から30万円以下で生活していけるように心がけておく必要があります。
どのような家に住んで100歳を迎えるべきなのか考えておく必要がある
あなたがどのような住まいで老後を過ごしていくのかで、費用も大きく変わってきます。一戸建てやマンションなど住居を購入している場合、退職前にローンが終わっていないと、かなり苦しい状況になるでしょう。ここでは住居のタイプによって変わる費用を説明していきます。
一戸建ては固定資産税と火災保険の支払いが必要になる
固定資産税と火災保険の支払いは必要です。特に昨今は自然災害で保険の支払いが増えていることから、保険料の値上がりは考慮しておくべきでしょう。また自然災害で被害にあいにくい土地柄の物件を購入していればいいですが、しっかりと調べていなかった場合は、市町村などから発表されている災害マップをもう一度確認しておきましょう。
マンションは管理費・修繕積立費も必要になる
固定資産税と火災保険の支払いは一戸建てと同じです。あとは管理費と修繕積立金の支払いが必須です。平成30年度の「マンション総合調査」によると、34.8%のマンションで修繕積立金の不足が発生していて、計画に対し20%超の不足があるマンションが15.5%もあります。つまり修繕積立金が今後値上がりする可能性もあるということを、頭の中に入れておく必要があります。また、令和元年台風第19号の際に発生した長期停電などが、今後起きることは十分考えられます。現在の住居が老後になってからも住みやすい住環境なのか、再度考えておく必要があるでしょう。
アパートの転居は老後だと難しい傾向にある
平成26年度に行われた日本賃貸住宅管理協会、家賃債務保証会社の実態調査報告書によると、高齢者に対して約6割の家主が入居に対し拒否感を持っているそうです。主な理由は、家賃の支払いに対する不安があるからということでした。したがって、退職前にはどのような生活を送りたいのか考えながら入居先を選んでおく必要があるでしょう。退職後の転居は難しくなる可能性があります。部屋を選定する際、災害マップの確認をしておくとよいでしょう。
介護が必要になったときの費用
家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担2016年度調査」によると、在宅介護にかかる費用が月に約5万円だそうです。内訳は介護サービスへの支出は約1万6千円、介護サービス以外への支出は約3万4千円でした。もちろんこれは平均値であり、要介護度が上がるにつれて支出も増える傾向にあります。
介護のことが気になる場合、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居を考えるかもしれません。この2つには契約方式に違いがあり、前者は介護施設の利用契約、後者は住宅の賃貸契約です。
費用に関しては以下の金額が一般的です。
・介護付き有料老人ホーム:入居一時金は無料から数千万円、月額費用は15~35万円程度。
・サ高住:敷金は家賃の2~5カ月分、月額費用は10~30万円。
介護になると決して安くはない費用がかかります。健康であれば前述したような費用はかからないわけですので、健康診断を定期的に受け、健康状態を維持できるようにしておくことが重要になってきます。
老後の医療費はどれくらい必要
平成28年度の医療給付実態調査によると、後期高齢者の医療費の総計は約92万円です。(75~79歳は76万円程度)
また65~69歳では40万円程度、70~74歳では60万円弱と医療費は年齢と共に上がっていく傾向があります。ただし高額医療制度が利用できる場合には、個人負担は減らせますががんの治療を行うときに使われる陽子線治療などの先進医療を行う場合には、自己負担になるので注意が必要です。
さらに医療費の増加に伴い、窓口負担率が上がる可能性があります。2019年12月2日に後期高齢者の窓口負担を2022年には、1割負担から2割負担へと引き上げるとのことです。
2040年までは65歳以上の人口が増え続けていくので、医療費の窓口負担や高額医療制度の変更があることを考慮しておいた方がいいかもしれません。
熟年離婚はどちらにも経済的なメリットはない
結婚生活の中でどちらかの不倫や暴力などで、結果的に離婚することが出てくるかもしれません。そのような場合、厚生年金に介入していて扶養内勤務をしていた場合、第3号被保険者になっています。
仮に全期間、第3号被保険者だったとしたら年間で779,300円しか受給できません。もし厚生年金に加入していた時期が短ければ、大きな上積みは期待できないでしょう。
また離婚の際の財産分与をすることになります。一時的に得したと思ったとしても、1人で暮らすほうが2人で暮らすよりも生活コストは割高になりますし、再度生活設計をしなおす必要がでてきます。
100歳までのライフプランを再考しましょう
どのような住まいで暮らしていくかによって支出が変わってきます。また健康寿命を延ばすようにして、なるべく医療や介護を受けないようにし、費用をなるべくかからないようにすることで、肉体的にも精神的にも楽に暮らしていけます。日ごろの健康には老後を迎える前にも気を付けるようにしましょう。そして、長生きすることになればやはりお金は必要になります。今からの準備が必要です。
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