コラム

相続対策はいつから始めるべき?早めの対策が円満な相続を呼ぶ

相続対策はいつから始めるべき?早めの対策が円満な相続を呼ぶ

人生のライフプランとして子育ては継続的に時間を使います。ただ、子供が大学から社会人へと旅立っていくと、そろそろ自身の老後も意識する人は多いと思います。

また、老後を意識するとともに、年齢を重ねていくと心配になるのが相続の問題です。相続と聞くとまだ先の話のように思えますし、難しいイメージをお持ちの人も多いかもしれません。

育っていった子供が結婚し、孫が生まれるという人も多くいるはずですが、出来ることなら子供や孫に少しでも多く資産を相続したいはずです。しかし、前途でお伝えしたように相続対策に関してはイメージしづらく、具体的にいつから始めるべきか分からないという人も多くいるのが現状です。特に相続対策をしっかりと行わなければ、相続税で多くのお金が子供や孫世代に残せない結果になることもありえません。

そこで、今回の記事では相続対策をいつから始めるべきかを解説しつつ、最も大きい悩みである相続税の今からで切る対策についてもお伝えしていきたいと思います。

まだ先の話と考えているかもしれませんが、今後のための今から最低限の相続対策を身に付けておきましょう。

Contents

相続対策は現役時代にやるべき。3つの方法

相続対策は現役時代にやるべき。3つの方法

相続税対策と聞けば、色々難しそうな手続きや書類を作成するイメージがあるかもしれませせんが、基本的には「不動産」「生前贈与」「生命保険」の3つの方法を駆使し、「節税」と「納税」両方の対策を行っていくのが最も効果的になります。

節税はもちろんのこと、納税対策も必要なのは、相続税は現金納付が基本なので切り離せません。
そのためまず「不動産」「生前贈与」「生命保険」の3つの方法について詳しく解説していきたいと思います。

相続対策①「不動産」

不動産に関していえば、ローンを組んでマイホームを購入している人も多くいるのではないでしょうか。
相続において、不動産は財産評価額を時価よりも低くしてくれるため、「節税」の効果が望めます。

中には自身の持ち家だけではなく、不動産を保有している人もいるはずです。その中でも、特にアパートや店舗等の収益物件は評価額の減額効果が大きいため、相続税対策では土地活用や収益物件の購入を積極的に行うことが重要になります。

相続対策②「生前贈与」

生前贈与とは、生存している個人から別の個人、つまりあなたの子供や孫といった家族へ財産を無償で渡すことです。

生前贈与をしていく事で相続財産を減らし、結果納税額を減らす効果があります。

この生前贈与は財産を生前中に相続人に譲る行為ですが、年110万円までの非課税枠があります。この1年間で贈与できる非課税枠110万円を超えてしまうと、贈与税の税率は相続税の税率よりも高いので注意が必要です。
生前贈与は、時間をかけ計画的に行うことで一定の節税効果が期待されています。

相続対策③「生命保険」

生命保険は、相続対策では重要になりますが、意外と知らいない人は多くいます。生命保険は大きな非課税枠が有ることから「納税」の効果が見込める対策の1つです。

非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数」となっており、死亡保険金の額を非課税枠内に設定しておくことでその保険金を納税資金に充てることが可能になります。

日本の相続税の負担は重い

日本の相続税の負担は重い

相続税は支払うのは当たり前ですが、日本の相続税の負担はかなり重くなっています。そもそも相続税とは、亡くなった人から財産を相続した際にその合計額が基礎控除額を超えた場合に課税される税金です。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

現金はもちろん、土地や建物も課税対象です。
対象外となるのは、葬儀費用や債務、非課税財産(墓地や仏具など日常礼拝しているもの、心身障害者共済制度の給付金、公益を目的とする事業に使われることが確実な財産)などが挙げられます。

ちなみに、相続人は相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10カ月以内に、被相続人の住所の所轄税務署に申告・納税をする義務がありますので注意しておきましょう。

そして、ここも忘れてはいけない部分ですが、相続税は相続した財産の金額に応じて税率が異なることを知っておかなければいけません。

それぞれの相続金額に応じた日本における税率は以下の表のとおりになります。

相続した財産の金額税率
1,000万円以下10%
1,000万円超から3,000万円以下15%
1,000万円超から3,000万円以下20%
5,000万円超から1億円以下30%
1億円超から2億円以下40%
2億円超から3億円以下45%
3億円超から6億円以下50%
6億円超から55%
(引用:国税庁

相続における税率は10%~55%です。
つまり、相続金額が高くなれば税率も高くなり、3億円以上相続した場合には相続金額の半分以上もの税金で収めなければいけないことになります。

このことを考慮すれば、いかに相続対策が重要であるから分かるはずです。

相続が発生してからできる相続税対策はない

相続が発生してからできる相続税対策はない

相続において重要なのは、相続する必要性が発生してから対策しようとしても遅いということです。
確かに相続は非常に広範囲で、すべきことも多種にわたることもあるので先伸ばしにしてしまいたい気持ちも理解できます。しかし、実際に相続間近で出来ることは限られてくるので、事前に準備しておくことが相続には求められます。

まず最初の一歩として「相続税がいくらくらいかかるのか?」から知ることが始めましょう。中には「元気なうちに死後のことを考えるのは嫌だ」といったこと声もよく耳にしますが、相続の金額によっては考え方を変えなければ骨肉の争いにまで発展する可能性もあります。

それこそ、相続における対策は細かく行っていけば「結婚や子供の資金の一括贈与で1000万まで非課税」にできたり、「毎年110万円以下の還暦贈与によって生前贈与」が可能だったりと、非常に多くあります。しかし、その全てが相続が起きるまでに行う必要があります。

相続をトラブルなく多く受け継がせるためにも、気づいた今のうちにどれだけで備えられるかが相続対策における最も大きな肝でもあります。

・相続税の対策ができるのは相続が起きる前まで。
・円満な相続は相続する前にどれだけ準きるかで決まる

今からできる相続税対策

今からできる相続税対策

相続対策は多種に渡りますので、混乱してしまうこともあるはずです。
そのため、まずは細かくみていくのではなく、大雑把でもいいので今からできる相続対策を知っておきましょう。

次は相続対策において今からできる2つの対策方法についてお伝えしていきます。
相続対策が「難しそう」と考えているひとは、ぜひ1つ1つ対策して多くの額を相続できるようにしていきましょう。

こまめに生前贈与を行う

相続税は、亡くなった時点での相続財産の評価額合計に対して課税されます。

つまり、亡くなった人が所有していた相続財産の金額が大きければ大きいほど相続税の負担も大きくなるということにまりますので、できる限りこの相続財産の合計額を小さくしておくことが節税対策の基本ともいえます。

具体的には、生前に被相続人となる人の家族等に対して財産を分け与えておくのが有効です(これを生前贈与といいます)。

ただ、国側も相続税の取り分が少なくならないようにするために、生前に行われた贈与に関しては贈与税という形で課税する仕組みを設けているので、「毎年、少しずつ贈与すれば贈与税はかからない」というのを一度くらい耳にしたことがあるのではないでしょうか。

これは「暦年贈与」と呼ばれる方法ですが、贈与税には受贈者(もらう人)1人あたりの基礎控除、年間110万円までの非課税枠があります。

これを上手に使えば少しずつ相続財産を減らしていくことができ、かつ贈与税も回避できるということになります。

1年の間であってもたとえば5人の相続人に110万円ずつ贈与すれば、年間550万円ずつ相続財産を圧縮できるわけです。

相続人が多い場合には、それほど相続開始までの猶予がない人でも割と早いペースで相続税対策を進めることができます。詳しくは親子間の生前贈与での税金対策で解説していますので、併せて読んでみましょう。

資産を組み替えて評価額を抑える

相続が見込まれる財産を現金のままで保有しておくと、当然ですがその金額で税務上も評価されることになります。
ただ、現金がある人がそれを不動産に換えることによって、資産価値自体はそれほど落とすことなく相続税課税にあたっての評価額を下げることが可能です。

具体的に見ていくために、土地と建物の評価方法と時価に対する割合を表で以下に示しました。

前途でも説明しましたが、節税対策の基本は如何にして相続財産の評価額を小さくし、相続税を安くするか重要になります。
現金資産の評価額は100%で、現金や預金はそのままの額で評価されてしまういますが現金資産を不動産資産に変えることで、大きな節税効果が期待できます。

土地自用地
評価方法路線価(公示地価のおおむね80%)
or
倍率方式
時価に対する割合8割程度
建物家屋(自用)
評価方法固定資産税評価額
時価に対する割合建築費の6割程度

もちろん、現在保有している土地や持ち家を含め、単純に継続的な収入で資産を形成したいと不動産投資をして複数の物件がある場合には、より相続税課税を下げることは重要になります。

資産を築くための投資では中古のワンルーム投資が効率的でおすすめですが、将来相続する可能性がある不動産がある場合や、今から資産形成で不動産を検討している人はぜひ併せて知っておきましょう。

「生命保険」と「オフショア保険」の活用

日本の保険に加入し続けていると気づきにくいですが、保険料が高くて返戻金が少ないのが日本では珍しくありません。
これは何もオフショア保険と比較するまでもなく、世界の主要国の保険と比べてもそうです。

保険に関して日本は鎖国状態ですので、知人や家族の紹介で加入することが当たり前で良い保険を見つけるということをする人は多くありません。

ただ、アメリカでも欧州でも、日本のように加入者がここまで不利な保険はないことをご存知でしょうか?

オフショア、とくに香港が日本の保険と比べて圧倒的に有利な理由は、オフショアでは金融業が完全な自由競争の下にあること、法人税が17.5%と日本に比べて安いことにあります。

オフショアでは当たり前の話ですが、保険金を受け取るときは課税されません。日本では一部の控除額を除いて贈与税・所得税・相続税のいずれかが課税されます。

ということは、オフショア保険というのは、オンショアから見れば「節税商品」であるということが言えます。

相続対策は早めに始めるのが吉!将来の資産形成にも役立つ

相続対策は早めに始めるのが吉!将来の資産形成にも役立つ

今回紹介した相続対策を知ることで、相続における準備に対して意識が変わったのではないでしょうか。相続と聞くとどうしても「手間」や「時間」を要するうえ、自身の死後を考えなければいけないので、積極的に行う気持ちにはすぐにならないかもしれません。

しかし、いざ相続の必要性を感じてみれば、行える相続対策は多くなく、本来多くの資産を残すことができたのが少なくなり、残された家族へトラブルの種を残すことにもなりかねません。

そういった家族や親戚関係が悪くなる事態にしないためにも、いきなりすべての相続対策を行うのではなく、まだ先の未来、将来だからこそ気づいたうちから1つ1つ時間をかけて対策を行っていくようにしましょう。

それこそが、相続対策においては失敗しないためのコツです。

また、将来的に残る資産を増えることになるので、自身の老後資産にも多いに役立つはずです。自身の死後のことを考えるのは憂鬱という人は、まずは老後の資産形成として始めて見るのもいいでしょう。

時間を使って備えることは、どんな事態になっても修正することが可能なことが利点でもありますので、将来後悔しないようにもしっかりと相続に向き合った対策を取れるようにしてください。

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