コラム

最高税率55%の相続税を節約するための贈与税の使い方

実家には現金など資産性のあるものはないから相続税は関係ないと考えていた人が、いざ相続の段階になって多額の税金を支払わされたケースが多発しています。今回は贈与税を使いながら、相続税対策を考えていきます。

Contents

贈与税の仕組みと海外事情

仕組み

家族間や友人・知人にお金を渡したり、株券や土地・建物などの資産性のものをあげたりした場合、贈与税を支払わなければなりません。このような贈与を、一般贈与と呼んでいます。ただし両親や子供など、親族間で生活費を送金しているような場合には対象にはなりませんので、その際には気にしなくてもいい訳です。

1~12月の1年間で贈与合計が年間で110万円を超えたときに、課税対象となり申告する必要がでてきます。納税するのは贈与を受けた側(受贈者)が行ないます。ただし米国の場合だと、贈与をした側(贈与者)が納税を行うことになります。
(贈与者が複数いる場合でも、合計金額が110万円を超えたら課税対象で、1人につき110万円までではない)

贈与税の税率ですが、贈与者の違いや贈与額によって税率が変わってきます。贈与者の違いとは、祖父母や父母など(直系尊属)から20歳以上の子や孫(直系卑属)への贈与の場合は特例贈与といい、それ以外の贈与を一般贈与といいます。税率はともに10~55%ですが、特例贈与の場合の方が税率は低く、控除額が大きくなっていることが特徴です。

たとえば父から20歳以上の子へ500万円を贈与した場合、基礎控除を引いた390万円が課税対象です。400万円以下の税率は15%、58万5千円から控除額の10万円を引いた48万5千円を納税しなければなりません。(一般贈与は税率が20%、控除額が20万円なので、58万円を納税)

金銭のやり取りの場合は分かりやすいですが、マンションや一戸建ての一部を贈与したい場合もあります。そのようなときには、土地は路線価から計算をし、建物部分に関しては固定資産税評価額を使って計算します。(土地の路線価が分からない場合も固定資産税評価額が使えます)

固定資産評価額は毎年、市町村から送られてきますので、不動産をお持ちの方は一度確認してください。

不動産を贈与したときには、名義変更を行ったり不動産取得税を支払ったりしなければならないので、その費用に見合うかどうか考えて行うようにしましょう。なおスイス、スウェーデン、マレーシア、タイ、モナコなどは贈与税がない国です。

贈与で気を付けておかなければならないことは、特に親子間で行った場合、死亡前3年の贈与は相続税の対象になることです。

相続税と海外事情について

相続税と海外事情

人が亡くなったときに現金や不動産などの財産が、他の人へ移動した際に支払わなければならないのが相続税です。特に亡くなった方が遺言書を残していない場合は、配偶者や直系卑属・直系尊属が相続人になります。

相続税の基礎控除は3,000万円と、法定相続人1人につき600万円が加算されていきます。たとえば、法定相続人が4人いた場合は、5,400万円が基礎控除額になります。つまり故人の資産が5,400万円以下なら申告の必要はなく、納税することはありません。また相続税配偶者控除では、1臆6千万円まで非課税にできます。

相続税の税率は10~55%です。なお海外に目を向けてみると相続税のない国もあり、スイスやオーストラリア、シンガポールなどです。相続税対策として海外移住を考えたい人もいるかもしれませんが、国税庁もしっかりと対策をしています。

たとえ海外に資産があったとしても、海外に移住してから10年超住んでいない場合だと、日本の相続税の対象になってしまいます。また海外への移住も年々ハードルが高くなっていますので、安易な気持ちで海外移住をしない方がいいでしょう。

かといって、日本の相続税は6億円を超えると55%もかかってしまうので考えものです。そこで贈与税をうまく使うことで、相続税をなるべく支払わないようにしていくことが考えられます。

贈与税を使って相続税の支払いを減らしていく

たとえば6億2000万円が相続税の課税対象だったとすると、相続税の税率は55%になります。仮に被相続人が亡くなる前に2000万円を親族1人に贈与していた場合、6億円が課税対象になるので税率は50%になりますが、実際に支払う税金を計算してみます。

・課税対象が6億2000万円のときの相続税

6億2000万円×55%-7200万円=2億6900万円

・亡くなる前に2000万円を贈与し、課税対象が6億円のときの相続税

贈与税:(2000万円-110万円)×45%-265万円=585万5千円

相続税:6億円×50%-4200万円=2億5800万円

合計:835万円+2億5800万円=2億6385万5千円

贈与税を使って相続税の課税対象額を減らすことによって、差額は514万5千円になります。

次に相続税の課税対象の税率が変わらない場合で試算してみます。相続税の課税対象が6億円だった場合に、そのまま相続する場合と、3人に対し2000万円の贈与を3年間行った場合です。(贈与額1億8000万円)

・課税対象が6億円の場合の相続税

6億円×50%-4200万円=2億5800万円

・3人に対し1000万円の贈与を3年間行った後、課税対象が4億2000万円のときの相続税

贈与税:((1000万円-110万円)×30%-90万円)×3×3=1863万円

相続税:5億1000万円×50%-4200万円=2億1300万円

合計:2億3163万円

相続税の課税対象額が6億円の場合と、合計9000万円分を贈与して対策をした場合では2637万円も変わりました。もちろん贈与する金額によって節税できる金額は変わってくるでしょう。

ただし気を付けなければならないことは、税務署が贈与を否認しないように手続きを行うことです。たとえば贈与の申告をしたくないから、毎年100万円を5年にわたって贈与している場合です。この場合は定期贈与と呼ばれ、500万円に対して贈与税を計算します。また相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象です。

ですから、あらかじめ贈与契約書を作成することや、確定申告時に贈与税を支払うことが必要でしょう。

相続税対策は長期計画を

相続税対策は長期計画を

海外移住をするにしても国内に留まるにしても、5~10年の期間で相続対策を考え、計画的に贈与を行うことで税務署に否認されないような節税を行う必要があります。まずは知識を身につけること。それが第一歩です。

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