かんぽ生命問題は2018年4月にNHKのクローズアップ現代+で取り上げられていたにもかかわらず、郵政グループからの抗議によっていったんは報道が下火になってしまいました。ただし2019年に入るとさまざまな問題が表面化し報道がされていきました。
結局、かんぽ生命問題は日本郵政グループ全体の問題へと飛び火し、3社トップが揃って辞任しました。日本郵政新社長である増田氏は「今回の問題は日本郵政グループ全体にとって創立以来の最大の危機」と発言しましたが、それほどのことをやったのです。今回はかんぽ問題とこれからのお金の問題について解説していきます。
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金融庁から郵政グループに対し行政処分が発表された
2019年12月27日に金融庁はかんぽ生命と日本郵便に対して、3カ月間の新規保険販売を禁止すると発表しました。かんぽ生命問題の根幹部分は、契約者の不利益になるようなことをやっていたのです。
・保険料の二重払い
・意図的に無保険期間を作った
どちらも職員の営業成績に繋がるためなのですが、2つ目の意図的に無保険期間を作ったため、その期間に顧客に何かあった場合は当然保険金が下りることはありませんでした。これはお金を大量に支払い貢献をしているのに、まったく恩恵にあずかれない事態になっていたということです。
上記の2つの問題に派生するような形で、以下のようなトラブルも起きていたといいます。
・契約時に病気の有無を確認しなかったため、結果的に入院・通院時の保険金が受け取れなかった
・切り替え時期に病気が発覚し新たな保険契約が結べなくなった
これらも、担当職員のエゴがなければ発生しなかった問題です。担当職員だけでなく、不正を見逃していた上司、ならびに取締役など郵政グループ全体の問題と捉えるべきでしょう。保険の二重払いや無保険期間を作るようなことは、他の保険会社では起こりえない問題です。かんぽ生命問題が発覚する前の5年間だけで、不正販売の疑いがある件数が約1万3千件もあるわけですから、異常だったと言えるでしょう。
社会保険制度の歴史と今後の動向
かんぽ生命並に問題なのは年金制度です。かんぽ生命は謝罪して幕引きを図ろうとしていますが、国は謝罪すらせずごまかす可能性が高いです。国民皆保険制度がはじまったのは1961年。1973年には70歳以上の医療費負担はゼロでした。ところが職域保険の本人自己負担割合が2003年には3割に、2008年には後期高齢者医療制度が始まりました。
高齢者人口が増えていくにつれて、健康保険の制度が変わってきたことが分かるでしょう。現在では後期高齢者でも現役並み所得者(課税所得が145万円以上、収入にして約386万円)の場合だと、窓口負担割合は3割となっています。
2019年で後期高齢者になっている人は、1973年当時70歳以上の医療費負担がなかったことを知っている世代ですので、国が行ってきた制度改正は詐欺みたいなものだと感じている人が多いと考えられます。
後期高齢者医療保険料の賦課限度額の上限は2019年度では62万円でしたが、2020年度には64万円に引き上げる案を示しています。国民健康保険料の賦課限度額の上限も同じように引き上げられており、2019年度が80万円だったのに対し、82万円になる予定です。介護納付金賦課額も加わるので引き上げ後の上限は99万円です。
後期高齢者医療保険料や国民健康保険の賦課限度額の上限を上げる理由として、中間所得層の保険料負担の抑制ということですが、医療費が増大しているから上限を上げるだけのことだと考えられます。現時点では第201回通常国会(2019年1月予定)が開かれていないので、賦課限度額の上限が上げられるのかは分かりませんが、仮に上げられなかったとしても、翌年もしくは翌々年には上げられるでしょうし、もっと上がっている可能性もあるでしょう。
また健康保険の保険料率も上がってきていて、2012年に労使合わせて10%(全国平均)になりました。2020年1月の段階では健康保険の保険料率を上げるような情報は流れていませんが、後期高齢者医療保険の財源の一部を賄っていることから、今後も保険料率が上げられるかもしれません。
今あるものは変わっていくことを見据えて準備を整えていく必要がある
今回はかんぽ生命問題や国民皆保険制度について取り上げました。悪質な詐欺案件は避けることができますが、国が進めているものに対しては拒否のしようがありません。対応するためには費用を捻出できるよう資産を増やす努力をし続ける必要があります。国に文句を言っても何も対応してくれません。自らの力でなんとかするしかないのです。
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