コラム

プロアスリート引退後の末路。残された残りの人生とは?

プロアスリート引退後の末路。残された残りの人生とは?

2021年7月23日~8月8に行われた2020年東京オリンピック競技大会で日本は金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個を獲得し、合計58個のメダルを獲得しました。
金メダルの数では国別ランキングでアメリカ・中国についで3位となり、メダルの獲得数でもこれまで最多だったリオデジャネイロ大会の41個を17個上回り、史上最多のメダルの数となりました。

2021年8月24日~9月5日に行われた2020年東京パラリンピック競技大会で日本は金メダル13個、銀メダル15個、銅メダル23個を獲得し、合計51個のメダルを獲得しました。
これは、2004年のアテネ大会での52個に次いで過去2番目に多くなり、前回大会の24個を大きく上回る結果となりました。

新型コロナの蔓延を恐れる声も多くありましたが、それでも日頃努力している選手たちが結果を出す姿に恐らく日本中が感動したのも事実です。

さて、そんな一世風靡した一流のアスリートでも必ず衰えが来て、同時に経済的にも変化の局面を迎えます。中には自己破産するケースも珍しくないことをご存知でしょうか。

今回の記事では、プロアスリートたちのその後について紹介していきたいと思います。

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現役引退後に自己破産に追い込まれる?

現役引退後に自己破産に追い込まれる?

テレビで見るスポーツ選手の多くは人気や話題、そして結果で放送されることが多くあります。実際にはその何十倍もスポーツ選手はいますが、その活動を報道されるのもほとんどが一部です。

しかし、その分結果を残した有名選手やオリンピックで結果を残すような選手にはスポンサーやファンも多く付き、順風満帆のように見える人もいるでしょう。
実際に経済面でもそうであり、賞金を含めて非常に高い金額を短期間で稼ぐ選手も多くいます。ただ、そんな高い収入を得ている現役のスポーツ選手たちが、引退後5年以内に80%自己破産するといわれているのご存知でしょうか。

NHKの番組でも、現役引退後に自己破産に追い込まれているという報道されていたこともあります。

  • 元NFL(全米プロアメリカンフットボールリーグ)のプレーヤーの約78%
  • 元NBA(全米プロバスケットボールリーグ)のプレーヤーの68%

さらには、サッカー元プレミアリーグのおよそ40%が引退後4年以内に自己破産しているといったデータもあったりします。

たとえ破産者の数がこの数値の半分だとしても、これはすさまじい数です。

これらの記事では、その原因として一様にミリオネアだった選手たちの「元来の金遣いの荒さ」や「離婚による莫大な慰謝料の支払い」に加えて、「インチキな投資話に容易に乗ってしまう」という、金融リテラシーの低さを指摘していました。

日本でも過去に、某プロ球団の野球選手2名が不動産投資で大失敗し、億単位の借金を抱えてしまった話は有名です。

2021年7月7日には、松坂大輔選手(40)が引退するという報道がされましたが、西武時代は「平成の怪物」と呼ばれ、21世紀初の沢村栄治賞を受賞し、パ・リーグ投手最多記録となるゴールデングラブ賞も7回受賞しています。
また、2006年と2009年のWBCではエースとして日本代表に貢献しており、恐らく多くの人が知っているはずです。

プロになってからは2度のパ・リーグ優勝、1度の日本シリーズ優勝、1度のワールドシリーズ優勝、2度のワールド・ベースボール・クラシック (WBC) 優勝を経験し、アテネオリンピックの銅メダリストでもあります。

直近で引退するという報道が発表された松坂大輔選手を取り上げましたが、こういった経歴を得て引退していった人たちのなかにも、多く自己破産をしてしまった人はいるわけです。

ただ、こういった話は当然ですが全員というわけではありません。

投資を行い現役引退後も成功している選手もいる

投資を行い現役引退後も成功している選手もいる

スポーツ選手達が引退後に成功する人がいるといっても、新たな事業をしたり、他のスポーツなどに移行して成功するわけではありません。

特別他の分野が得意というわけではない彼らですが、その多くが同時に成功を収めているもので代表なのが投資です。

例えば、不動産投資をすることによって毎月安定した家賃収入などを獲得することができ、たくさんのお金を稼ぐことができます。
そのため、多くの人が不動産投資に挑戦しており、その中には驚くほど稼いでいる人もいるのが実態です

プロ野球選手にも、安定した収入を目的に不動産投資に挑戦もしくは関係を持っている人がたくさんいます。

  • 上原浩治(アメリカと日本で複数の不動産を所有)
  • 高橋敏郎(宅地建物取引士の資格を保有)
  • 永川満寿(2011年に不動産会社を設立)
  • 長嶋茂雄(所有している不動産全部で30億円とも言われている)

恐らく多くの人が知っている有名な選手ですが、その選手収入以外にも二足のわらじのように別の収入口を手に入れて成功している実態があります。

世界的にみれば自己破産するほど失敗しているプロ選手もいる反面で、成功している人も多くおり、今まで野球や水泳などの競技に一生を捧げてきた人が別の分野で成功を収めるということも珍しくはなくなっています。

日本人アスリートで成功している優秀な投資家は誰か?

日本人アスリートで成功している優秀な投資家は誰か?

そんなアスリートの世界で現役から引退までと超一流だったのが2019年に45歳で引退したイチロー選手になります。

イチロー選手は現役時代のマリナーズとの契約時に5年9000万ドル(約99億円)の大型契約を結んでいますが、毎年500万ドル(約5億5000万円)分が後払いに設定されているといわれており、総額2500万ドル(約27億5000万円)に、5.5%という利子を乗せた金額をマリナーズに預けている状況で、受け取りは引退翌年の来年1月からスタートすると報じられています。
仮に27億円を単純に毎月1,000万円ずつ取り崩すと23年目で0となり68歳で受け取ることができなくなってしまう。

しかし、27億円に年利5.5%の利息をつけて運用しながら毎月1,000万円ずつ取り崩しても残高は減るどころが増えていってしまうことを理解していることが重要です。

これは年間で1.2億円(毎月1,000万円)取り崩したとしても、年利5.5%で運用しているため、約1.5億円増えてしまっているので減るどころが増えていってしまうことになるのです。

もちろん、額が大きいこともそうですが、何より長期的な目線で大きな収入のために考えて行動している部分は、ある種の投資と似ています。特に年利で5.5%の利息をつけて運用していることを踏まえれば、投資について素人ではなく、誰かにアドバイスをもらったのかもしれませんが、それでも運用において王道的な思考でしょう。

ちなみに年間いくら取り崩したら何年で受け取れなくなるのかを計算してみました。

年間1.5億円取り崩した場合

約87年

年間2億円取り崩した場合

約26年

年間3億円取り崩した場合

約13年

年間4億円取り崩した場合

約9年

年間5億円取り崩した場合

約7年

毎年いくらの金額を受け取るのかは定かではないですが、年間1.5億円取り崩した場合はイチロー選手が100歳を超えても払い切ることができないので、この契約がある限りイチロー選手はなにもしなくても死ぬまでの年収が1.5億円を下回ることがないことがわかります。

引退後の経済的な人生設計も完璧といっていいでしょう。ネットニュースなどの特集では「非の打ち所のない完璧主義者は規律、最大の努力、そして、強烈な貢献の体現者となった。

彼の打撃への入念なアプローチは自身に最も厳しい基準を設定する野球選手の化身となった」と崇高なプロ意識を貫いた求道者としての一面を評価されており、一方で「イチローを愛される野球選手たらしめた特質は交渉の席でも効力を十分に発揮。過去と現在の代理人の指導を経て、イチローは引退後の人生を豊かにするための、戦術的な計画を立てる先見の明を持ったのだ」と絶賛されています。

また、奥様の弓子氏が積極的に不動産投資を行っていることも有名です。弓子氏はアメリカの様々な不動産に投資を実施しており、年商100億円を超えるほどまで成長していると言われています。

イチロー氏が稼いだ多額のお金を不動産投資することによって、安定した利益を確保することに成功していると言え、これは取り崩しとは別に保有している資産なので驚きです。
代理人やアドバイザーとなる人物が配偶者というのは素晴らしいことですが、さらに野球という得意分野以外は得意な人に任せるという謙虚さも伺えます。

人間である以上、どんなにすごい人でもいずれ訪れる衰えます。その時に備え、見えないところで給与(報酬)を先取り貯蓄し、お金を働かせていたというこのストーリーは非常に参考になり、同じ日本人として見習うべきであると思います。

プロアスリートでも将来を見据えて資産運用を行う理由

プロアスリートでも将来を見据えて資産運用を行う理由

2019年6月に金融庁が発表した老後2000万円問題以降、資産運用の重要性が世間に広がりました。

一人ひとりが資産運用等により一定の金融資産を確保する「自助努力が必要な時代」と言われています。その背景として、現在の日本の状況を知っておく必要があるでしょう。

日本には、国民皆年金という制度があるものの、少子化・高齢化が進み社会保障費は拡大する傾向にあります。年間で500万人人工が減っていることもありますが、何より既に出生数に関しても年間100万人を下回っており、将来なんて漠然とした未来ではなく、それは5年や10年と意外と早い未来で社会保障費は拡大するかもしれません。

長く続いた低成長や国家予算の増大で国の財政は年々悪化しています。
これは多くの人が知ることでしょう。ただ、近年では新型コロナウイルスの影響もあり、さらに加速しています。

さまざまな政策が打ち出されていますが、現役世代を中心に子育てや年金など将来への不安が増大しつつあるというのが、現在の日本の状況ではないでしょうか。

現在の日本の状況
(引用:みずほ証券

このような日本の状況に加え、私たちの家計や生活の将来にも懸念材料があります。

  • 消費税の増加
  • 社会保険料増加
  • 円安による物価高

挙げればキリがありませんが、さらに年金支給開始年齢も段階的に引き上げられており、医療費の自己負担も2006年の法改正により2008年4月から70〜74歳は2割となっています。
また、2021/06/04の参院本会議で、賛成多数で可決された一定の所得(単身世帯は年金を含めて年収200万円以上、複数世帯では合計320万円以上)がある75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げることになっています。

もちろん、消費税増税や社会保険料増加以外にも、徐々に私達の負担になるものはありますし、これからさらに増えていくかもしれません。
今の段階でも不安視する声があるのですから、20年後や30年後の私達の老後が決して安定的でないことは予想できるはずです。

例えば、今貯蓄や運用などを実際に始めていて、資産と呼ばれるものがあったとしても、10年後にその資産が減っていないかといわれれば多くの人が疑問に思うでしょう。
結婚や住宅ローン、子育てによる教育などなど、必要になるお金も同時に膨大です。単純に老後に2000万円が必要で今現在2000万円あっても足りないわけです。

そして、遺産相続や若い頃に収入が高かったため貯金が多くある人ほど、その余裕から自己破産してしまったり、将来に対する見通しが甘い傾向が強いといわれています。
ただ、日本は累進課税なため、本記事で挙げたアスリートのように高い年収や資産を手にれたとしても、支払うことになる税金も非常に高いことになり、資産運用などで資産を増やすことも意識しなくてはいけません。

実際に冒頭で紹介したように、プロアスリートたちですら自己破産する人がおり、例えば元ボクシングヘビー級チャンピオンのマイク・タイソン(400億円)や元プロサッカー選手のジョージ・ベスト(100億)など、富裕層と呼ばれる人たちですら計画性のないお金の使い方をして自己破産しています。

日本では支払う税金が高いこともそうですが、何より経済的にも収縮してつつある現状を踏まえれば、何かしらの対策や資産運用のように時間をかけて増やす試みをしなくてはいけないということになります。

今できることを1つずつやることが将来成功するための近道

今できることを1つずつやることが将来成功するための近道

今回お伝えしたアスリートたちの成功例と失敗例で大きく違いを挙げるのであれば、計画性でしょう。

成功例では将来を見越して資産を運用し、失敗例では収入の大きさからひたすらお金を消費することが原因です。人によってはそんな「無計画な使い方をすればなくなるのは当たり前」と考えるかもしれません。

もしかするとあなた自身も今そう思ったはずです。

しかし、実際に振り返ってみると、日本で計画的に資産のことを考えている人は多くないのが現状です。
金融庁は老後2000万円問題以前から、「貯蓄より投資」というスローガンを掲げて、個人の資産が老後や万が一のために耐えられるように案内しています。しかし、そんな話題などが上がっても、現在でも多くの人が将来に対する人生設計や資産計画などに対して無頓着でいる傾向があります。

例えば、あなたは10年後に自分の貯金がどれぐらい貯まっているか分かりますか?
これは今の収入と将来昇進(上司の年収から推測)した場合の収入、そして、毎月の消費している支出などを考えれば知ることができます。また、結婚した場合の予想なども組み込むとさらに精度が上がるでしょう。

そして同時に、あなたがもしも「これぐらいの資産があってほしい」と10年後に想像しているのであれば、足りない金額も導き出せるわけです。

そのためにする行動は人によって異なります。イチロー選手であれば不動産投資などを紹介しましたが、専門外なため奥さんに委ねたり、得意な人の相談したりなどです。
もちろん、今すぐにあなたができる行動も限られているでしょうが、それでも相談や今の保険を見直したり、将来のために資産設計を考えてみることはできるはずです。

今はできないではなく、今できることから何を変えられるのか?それを考えていきながら将来に備えられるように、このアスリートたちの成功例と失敗例から実践してみましょう。

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